前回の記事では伊勢・志摩サミットの前哨戦と称し、仙台で開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議がドル円相場に与える影響について予想しました。
今回は伊勢・志摩サミットで一体なにが決まろうとしているかをまとめるとともに、当サイトで紹介するバイナリーオプション取引とかかわりの深い為替への影響を予想していきます。
2016年4月26日から27日にかけて開催される伊勢・志摩サミットへ参加するため、既にG7各国の首脳は現地入りしています。
伊勢・志摩サミットでここまでに議論されたもの
今回の伊勢・志摩サミットでは、以下の関連会合で得られた内容をもとにしたものを伊勢・志摩で開催される首脳会議において首脳間で議論し、結論を共同声明として発表するようになっています。
首脳会議以降にも保険大臣会合(2016年9月11日~12日)と交通大臣会合(2016年9月24日~25日)がありますが、今回の記事では割愛します。
- 伊勢・志摩サミットの関連会合一覧
- ・外務大臣会合(2016年4月10日~11日)
- ・農業大臣会合(2016年4月23日~24日)
- ・情報通信大臣会合(2016年4月29日~30日)
- ・エネルギー大臣会合(2016年5月1日~2日)
- ・教育大臣会合(2016年5月14日~15日)
- ・科学技術大臣会合(2016年5月1日~2日)
- ・財務大臣・中央銀行総裁会議(2016年5月20日~21日)
- ・首脳会議(2016年5月26日~27日)
外務大臣会合で議論されたこと
G7広島外務大臣会合では、世界情勢を脅かすテロやその他安全保障に関する内容がテーマとされました。中でも核の無い世界の実現に向けた広島宣言が発出されました。
「海洋安全保障」では、中国による南シナ海の軍事拠点化に対して、緊張を高める一方的な現状変更に対する懸念を表明することで一致していました。
農業大臣会合で議論されたこと
G7新潟農業大臣会合では、食料需要の増加・異常気象への対処をはじめとする内容がテーマとされました。この議論の成果から食糧安全保障の強化に向け新潟宣言が発出されました。
上記で列挙した以外にも「農業者の高齢化」といった、日本の農家における現状の問題についても議題として出たようです。
情報通信大臣会合で議論されたこと
G7香川・高松情報通信大臣会合では、新たな情報通信技術(ICT)やサイバー攻撃対策について議論されました。
これらに対してどのように行動するかを盛り込んだ「検証の実施に係るアクションプラン」として、G7情報通信大臣共同が発出されました。
エネルギー大臣会合で議論されたこと
G7北九州エネルギー大臣会合では、エネルギー投資の促進やエネルギー安全保障の強化、そして持続可能なエネルギーについてがテーマとされました。
これら「グローバル成長を支えるエネルギー安全保障」の議論の結果はグローバル成長を支えるエネルギー安全保障のための北九州イニシアティブとして採択されています。
教育大臣会合で議論されたこと
G7倉敷教育大臣会合では、難民・貧困層への教育支援等の内容がテーマとされました。この議論の成果から倉敷宣言が採択されました。
やはり昨今のシリアに見られるような「難民の大量流入」から国際社会の安定化を図る議題が中心となりました。
科学技術大臣会合で議論されたこと
G7茨城・つくば科学技術大臣会合では、女性研究者の活躍推進や海洋観測協力の強化等の内容がテーマとされました。この議論の成果はつくば共同声明(コミュニケ)として発表されました。
女性研究者の活躍支援については、過去のドイツ・エルマウサミットの「女性の起業家精神に関するG7原則」を引き継いでいます。
財務大臣・中央銀行総裁会議で議論されたこと
G7仙台財務大臣・中央銀行総裁会議では、世界経済の再興、強靭な国債金融アーキテクチャの構築、持続的かつ包摂的な開発、国際的な金融フローの健全性の促進という4つがテーマとなりました。この議論の成果からテロ資金対策に関するG7行動計画が採択されました。
また租税回避地のいわゆる「パナマ文書」の議題や意図的な通貨安競争を避けることでも一致しています。
伊勢・志摩サミットが為替相場に与える影響
そして伊勢・志摩サミットは、安倍総理が各国首脳を伊勢神宮で出迎えることで始まりました。世界経済・国際テロ・難民対策・課税逃れを防ぐ対策等、先の各関連会合の成果にもとづき首脳同士で議論がなされます。
特に5月26日は、安倍首相が最大のテーマとしている世界経済に関する会合を開催。金融や財政政策に関して、成長を促すことができるかが議題の焦点となります。
日米間の相場に対する意識の差
この記事で何度も取り上げている通り、ここからは各関連会合の成果について議論を交わすことになります。為替相場に影響を与える関連会合としては、財務大臣・中央銀行総裁会議が当てはまります。
今回の関連会合時に開催された日米財務相会談においては、このところ進んだ急激な円高についての日本政府の為替介入をけん制する発言がルー財務長官からもたらされました。
伊勢・志摩サミットが与える為替への影響とは
キーワードとなるのは「意図的な通貨安競争を避ける」という部分です。今回の伊勢・志摩サミットにおいて、日米間の円高・ドル安についての認識の溝を埋めることができなければ、今後為替変動は自然の摂理に任せることになります。
日本政府による為替介入が認められなければ、極端な話円高方向に動き続けると予想することができるのです。
[↓2016年5月27日 追記↓]
伊勢・志摩サミット閉幕
最初の議題は世界経済についてとなり、G7の各首脳間の間で世界経済が厳しい状況となっていることを共有し、それに対する政策は惜しまないことで一致しています。
ただし、表現の強弱に注文があり、一部文章の調整が行われました。クライシス(崩壊)は言い過ぎという指摘です。
リスクに直面するという認識で一致し、そのリスクに立ち向かうための伊勢志摩経済イニシアチブに各国が合意し、共同声明としました。
これで今回の伊勢・志摩サミットは閉幕しました。次回2017年はイタリア・シチリア島で行われる予定です。